動物の歯は「噛む」という、いわば力仕事を請け負う部分になってきます。

したがってインプラントを長持ちさせるためには、余計な力がかからないようにコントロールすることが大切になってきます。普段わたしたちが何気なく噛んでいるのを食べているわたしたちの歯には、一体どれくらいの力が加わっているのでしょうか。

歯に力を入れて上下の歯をかみ合わせてみてください。このとき、だいたい体重と同じくらいの力で噛んでいるといわれています。つまり成人なら最低でも50〜60キロくらいの荷重がかかってきます。この重さは28本全ての歯に分散されるわけではなく、主に奥歯16本で負担するようにできています。すると単純計算すれば、歯一本が約4キロずつ負担することになります。ちょっとした手荷物くらいの重さになります。


あの小さな歯に意外と大きな負荷がかかっていることが分かると思います。ですから、奥歯には2〜3本の根があり、骨にがっちり支えているわけです。歯には上下方向に圧力がかかるわけではなく、横に倒そうとする力が加わります。それでは次に歯の形を見てみてください。

上顎の前歯から6番目にある第一大臼歯では、基本的に頬側に2つ・舌側に2つ高い山があって、その間は深い谷間になっています。
これと噛み合う下顎の第一大臼歯は、同じように頬側と舌側に2つずつの山があり、それぞれの山谷が噛みあって初めて機能します。上下の歯が噛み込んでいく方向は単純な上下運動だけではなく、山の斜面に沿うように左右にスライドする動きが加わります。

インプラント表面本体は骨と結合するためにヤスリのような粗目になっています。しかし、その結合がはがれ、炎症によって骨が逃げていき、粗目には最近が入り込みバイオフィルムが形成されてしまうともう除去は困難になってきます。そうでなくても、インプラントはネジ状になってますから、器具を入れてもネジ山の間にほとんど当たることはありません。


ポケットから器具を挿入しても、器具の向く方向が限定されますので、効果を期待することはほとんどできません。インプラントの周囲炎が確認されたら、まず抗生物質の注入と飲み薬が必要になってきます。バイオフィルムは破壊できませんが、歯肉や骨に入り込んだ細菌をたたくのに効果が期待できます。しかしながら、薬は何日も使用できませんので、根底に存在する感染源をたたく必要があります。それには、やはり周囲炎の治療と同様の手術が必要になってきます。


手術は麻酔をした後に、歯肉をはがし、骨やインプラント体の深い場所が見える状態にしておいて、痛んだ歯肉を除去します。そうすると、インプラント周囲で骨がすり鉢状態になくなっている状況が確認できます。この状況になれば、かなり自由に器具を操作することができるので、インプラント体を機械で除去することが可能になります。